今やイチローは、アメリカで最も有名な日本人の1人と言っても過言ではないだろう。そのスピードや強肩、グラブさばき、そして芸術品のような打撃技術で、日米の野球ファンをとりこにしている。愛知県に生まれたイチローは、愛工大名電高を経て1992年にオリックスに入団。94年に「振り子打法」からヒットを量産し、プロ野球史上最多のシーズン210安打を達成。翌95年には阪神大震災に見舞われた神戸復興のシンボルとして活躍し、念願のリーグ優勝に貢献。96年には初めて日本一の美酒を味わい、オフの日米野球では、憧れのメジャーリーガーとの対戦を経験した。
イチローは2000年オフ、7年連続パ・リーグ首位打者の実績を引っさげ、ポスティング(入札)でメジャー移籍。2001年、日本人野手初のメジャーリーガーは、年間116勝の歴史的快進撃を見せたマリナーズの核弾頭としてア・リーグ首位打者と盗塁王、さらにリーグMVPと新人王と数々のタイトルを獲得した。また2004年には、前人未踏となるルーキーイヤーから4年連続の200安打を8月の時点で達成。さらに、ジョージ・シスラーの持っていた年間最多記録を84年ぶりに塗り替えるシーズン262安打をマークし、自身2度目の首位打者に輝いた。
2006年、初めてメジャーリーガーが本格参戦した国別対抗戦ワールドベースボールクラシック(WBC)で、イチローは名実ともに日本の大黒柱として活躍。出場した全試合でヒットを放つなど「王ジャパン」を引っ張り、世界一の立役者となった。そして2007年はオールスター史上初のランニングホームランを放って日本人初のMVPに選出。7月には2012年までマリナーズとの契約を延長した。2008年は日米通算3000本安打、メジャー最長タイとなる8年連続200安打もクリア。2009年は、3月のWBC決勝戦でタイムリーを放ち、日本の連覇に貢献。シーズン突入後も3085本の日本最多安打、前人未踏の9年連続200安打、メジャー通算2000本安打と、さまざまな記録を立て続けにマークした。2010年も、両リーグトップの214安打をマーク。史上最多に並ぶ10度目の200本安打を記録した。
2011年はメジャーデビューから続いていたシーズン200安打が11年目にして途切れ、初めて打率も3割に届かなかったが、それでも184安打はア・リーグ9位の数字で、球界を代表する打者であることは変わらない。今季は、エリク・ウェッジ監督が3番での起用を明言し、本人も打撃フォームを変えるなど、新たな挑戦を試みている。12年目の今年はこれまでと違ったイチローが見られそうだ。
