チーム情報
プロフィール
前身は1969年に誕生した、カナダ初のメジャー球団モントリオール・エクスポズ。1981年に初の地区優勝を果たすも、成績不振と観客動員不振が続き、さらに1994年には地区首位を独走しながらもストライキによりシーズン打ち切りとなり、13年ぶりの地区優勝は幻となってしまう不運に見舞われた。
深刻な財政難から身売りが決定するも買い手がつかず、一時はMLB機構が運営を続けた。そして2005年に首都ワシントンに移転。同時にチーム名を現在の名称に変更し、2008年に待望の新球場がオープンした。
移転後も低迷が続いたが、それによって得たドラフト全体1位指名権で2009年には右腕スティーブン・ストラスバーグを、2010年には5ツールプレーヤーのプライス・ハーパーを獲得。その2人が主力に成長した2012年に、31年ぶりにしてワシントン移転後は初となる地区制覇を果たす。
2014年は独走で地区を制し、2016年はストラスバーグのほか、ジオ・ゴンザレス、タナー・ロアーク、マックス・シャーザーらが強力先発陣を形成して、就任1年目のダスティ・ベイカー監督の下で地区優勝。2017年もハーパー、ライアン・ジマーマン、ダニエル・マーフィーらの強力打線で地区連覇を果たした。しかし、いずれもリーグ優勝決定シリーズには進出できなかった。
デーブ・マルティネス監督が就任した2018年は優勝候補の呼び声が高かったものの、ブレーブスの後塵を拝し、地区2位止まり。その中で、エースのシャーザーはシーズン300奪三振を達成するなど、最多勝と最多奪三振の投手2冠に輝き、19歳でメジャーデビューを果たしたフアン・ソトが22本塁打を放った。2018年オフには主力だったハーパーがFA退団するも、長打力のある二塁手ブライアン・ドジャーやベテラン捕手カート・スズキを獲得し、FA市場の先発選手でもトップレベルとされていた左腕パトリック・コービンを獲得して投手力を強化した。
そして迎えた2019年は開幕から50試合で19勝31敗と波に乗れなかったが、ストラスバーグ、シャーザー、コービン、アニバル・サンチェスらの安定した先発陣を軸にそこから快進撃。打線も主砲アンソニー・レンドンが34本塁打、主力に成長したソトが34本塁打を放ったほか、遊撃手を務めるトレー・ターナーやメジャー3年目のビクトル・ロブレスらが活躍。ベテランのハウイ・ケンドリックのユーティリティー的な働きも光り、ワイルドカードからプレーオフの常連ドジャース、カージナルスを破って初のリーグ制覇。そしてワールドシリーズでアストロズを破り、球団創設51年目にして初の世界一に到達した。シリーズ史上初の全試合敵地での勝利で、ワシントンのチームが世界一になったのはセネタース以来、95年ぶりのことだった。
2020年は世界一連覇がテーマとなるが、FA退団したシルバースラッガー賞三塁手レンドンの穴埋めと、弱点とされていたブルペン陣の補強は必須。二塁が本職の新加入スターリン・カストロやベテランのアスドルバル・カブレラを三塁で起用する予定で、ブルペンではセットアッパー候補として前アストロズのウィル・ハリスを獲得した。強力先発陣は健在なだけに、打線とブルペン陣が鍵を握りそうだ。
スタジアム紹介
ワシントン移転時から使用していたMLSのD.C.ユナイテッドと兼用のRFKスタジアムに代わって、2008年に野球専用球場として開場。記念すべき公式戦のオープンでは当時のジョージ・W・ブッシュ大統領が始球式を行い、試合もナショナルズが劇的なサヨナラ勝ちを収めた。2012年には球場初となるポストシーズンが、2018年にはオールスター戦が、2019年には1933年以来となるワシントンでのワールドシリーズが、それぞれ開催された。試合での名物は首都に位置する球場らしく、歴代大統領の着ぐるみたちによるプレジデンツ・レース。レフトスタンド上段と球場の外には桜の木が植えられており、春に美しい花を咲かせる。アナコスティア川沿いに位置し、ライトスタンド上段の席からは連邦議会議事堂を見ることができる。近くには2018年に開場したD.C.ユナイテッドの新本拠地アウディ・フィールドがある。メトロの「Navy Yard-Ballpark」駅の目の前。